2017年上半期の振り返りと現在の北朝鮮情勢について

2017年も気づけば半分が終わりました。現在の北朝鮮はどうなっているのでしょうか?

上半期の出来事

まずは、2017年の1月~6月までの北朝鮮に関連するニュースにおいてかなり大きかったと思われる出来事を見ていきます。

2月:金正男の暗殺

はじめに大きな出来事としてはこれが挙げられるでしょう。事件自体がマレーシアで起きたこと、また金正男は中国が保護していたということもあり、マレーシアや中国はもちろん、国際的にも北朝鮮は非難を浴びることになりました。

事件の実行犯とされた北朝鮮の工作員とみられる人物はマレーシアの北朝鮮大使館に潜伏していた可能性が高かったので、マレーシアでこの工作員を捕まえることができるかが注目されていました。

しかし、マレーシアも北朝鮮に大使館を置いていたために北朝鮮が自国にいるマレーシア大使館の職員とマレーシアにいる自国の重要人物と暗殺された遺体(北朝鮮はキムチョルという人物だとしている)の交換を持ちかけ、マレーシアがこの条件をのんだため、重要なことはわからずじまいとなりました。

4月:大規模な軍事パレード

金正男暗殺の影響がわずかに残る中、北朝鮮はミサイル発射も行いながら4月15日には大規模な軍事パレードも行われました。軍事パレードには多数の朝鮮人民軍兵士のほか、今まで公にされてこなかった新型のミサイル兵器なども姿を見せるなど、海外から見れば猛烈な挑発とも取れるものとなりました。

パレードの様子は朝鮮中央テレビでも(リアルタイムではないが)放送されていたので、北朝鮮でテレビを見ることができる北朝鮮の人たちはパレードに行っていなくてもこれを目にしたことでしょう。

パレードの様子はインターネットでも公開されており、159分間ほどにわたるパレードの様子が日本から見ることもできます。

そんなに長く見てられるかという人のためにここで簡単に説明すると、動画の60分あたりから人民軍の行進が始まり、戦車やミサイルなどの兵器が出てくるのは97分(1:37)あたりからとなっています。

時より「105」という文字の形の編隊を組んだ戦闘機が通り過ぎたり、行進中に不意打ちに金日成と金正日の肖像が数秒ほど流れる編集がされていたりとするので、動画を見る際は自己責任でお願いします(動画の内容は朝鮮中央テレビで流れたものと同じっぽいので、そのあたりが関係しているのかもしれません)。

以下にパレードのシーンの内、戦車やミサイルが出てくるシーンのみの動画(それでも16分あります)とパレード全編の動画へのリンクを載せておきます。興味のある方はどうぞ。(ちなみにリンク先のサイトは北朝鮮の公式サイトとなります。)

※ブラウザの環境によっては再生できない場合があります。
※音が流れます。音量に注意してください。

クリック(タップ)すると開きます。動画の時間は16分ほどです。

北朝鮮の度重なる挑発についにアメリカが動く

2017年の北朝鮮はどうなるのかを予測して書いた記事の中で、トランプ大統領の動き次第で北朝鮮情勢は大きく変化するということを書きましたが、2月~4月に起きた一連の騒動にアメリカは圧力をかける必要があると決断をし、北朝鮮周辺に海軍を派遣することを決めました。

極東地域にはすでに横須賀海軍基地を母港としているアメリカ海軍の空母「ロナルド・レーガン」がありますが、それに加えて南シナ海に展開していた空母「カール・ヴィンソン」を急遽北朝鮮に派遣する決定を下したのです。

米ホワイトハウスのスパイサー報道官は17日の会見で、米国が北朝鮮に対して軍事行動に踏み切る基準となる「レッドライン(越えてはならない一線)」を明言しないことを明らかにした。その上で、トランプ大統領がシリアの空軍基地にミサイル攻撃した例を引き合いに出し、「適切な時には断固たる行動をとる」と強調した。

引用:対北朝鮮「レッドライン」明言せず トランプ政権 – 朝日新聞デジタル

トランプ大統領は「北朝鮮がレッドラインを超える挑発行為を行った場合はあらゆる手段をとる」としていました。レッドラインがどこにあるのかは具体的には明言しませんでしたが、まさに一触即発、緊張状態となった両国でした。

核実験は見送った北朝鮮

大規模な軍事パレードを4月15日に行い、その後北朝鮮の記念日でもある4月25日、あるいはその前後に核実験を行うのではないかとみられていた北朝鮮でしたが、この記念日を過ぎても北朝鮮は核実験を行う様子はなく、結局は7月現在になっても核実験は行われませんでした。

トランプ大統領が空母を派遣したり強い圧力をかける声明を出しつづけたりしたことはもちろん、中国に対しても北朝鮮に圧力をかけるように働き、その結果中国は限定的ではありますが、北朝鮮に対する圧力をかけたことも原因の一つであると考えられます。

国連安保理・北朝鮮制裁委員会によると、北朝鮮の石炭輸出量は3月期に6342トンにまで減少した。1月期の144万トン、2月期の123万トンと比べると、壊滅的な数字だ。最大の輸入国だった中国が輸入をストップしたことが大きい。

従来、中国の北朝鮮制裁は「やるやる詐欺」だった。すなわち制裁そのものには合意しておきながらも、各種の抜け穴、口実を使って貿易を継続していたのだ。ところが今年2月になって中国政府は制裁の厳格な履行を宣言し、実際に石炭貿易がストップしたとみられる。

異変は貿易統計のみならず、官制メディアを使った舌戦にまで発展している。中国の人民日報や環球時報は北朝鮮の核実験及びミサイル発射実験について厳しく非難した。

引用:北朝鮮をかばい続けてきた中国が今、態度を急変させた理由 – ニュースウィーク

中朝関係はもともと数年前から微妙な関係にありましたが、金正男氏の暗殺によって一気に関係は不和が生じ始め、北朝鮮を非難する発表もするくらいでした。

挑発行為を続けてきた北朝鮮も、さすがにこれ以上行為をエスカレートさせれば何が起こるかわからないと考えたのか、核実験までには踏み切りませんでした。

その後もミサイルの発射は続く

核実験が行われるのはいつになるのかという危機感が4月末あたりにピークを迎えていましたが、日にちがたつにつれてその危機感は薄れてきたように感じます。

それでもミサイル発射は何回か行い、そのたびにニュースになりました。7月4日には大陸間弾道ミサイルICBMを発射し、アメリカ政府をあわただしく動かしました。

北朝鮮が4日に発射した弾道ミサイルについて、韓国や日本の専門家はミサイルが最高高度2802キロまで上昇したことから、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級と判断している。

(中略)

専門家らは北朝鮮が公開した火星14の飛行距離と最高高度が事実である場合、正常な角度で発射すれば射程距離は8000キロを超えるとみている。

引用:北朝鮮「火星14」 射程8000キロ超のICBMか – 聯合ニュース

アメリカの独立記念日であったこの日に数千キロメートルもの射程を持つミサイルを発射したことはアメリカに対する挑発行為も兼ねているといえるでしょう。

参考までに8000kmという距離についてですが、平壌からワシントンD.C.までの距離は約11000kmなのでこのミサイルで直接ホワイトハウスを攻撃することはできませんし、本土の西にあるサンフランシスコでも約9000kmと微妙に届きませんが、ハワイなら約7700kmとなり射程内となります。

この情報が本物であればもはやアメリカも対岸の火事とはいかないでしょう。

日本で高まるミサイルの危機

北朝鮮は核実験をあきらめたわけではないでしょう。現にミサイルの発射は軍事パレード後も散発的に発生し、日々技術力を高めていると考えられます。

アメリカの圧力で核実験は行われませんでしたが、開発が停滞しただけであり、ほとぼりが冷めれば北朝鮮は再び何らかの大きいアクションを起こす可能性は十分に考えられると思います。

日本においてはこういった北朝鮮のリスクの高まりから、ついにミサイルに対する防災訓練が各地で実施されるまでになっています。

北朝鮮が発射を繰り返す弾道ミサイルの飛来に備えた住民避難訓練が4日、福岡県大野城市の小学校で行われた。情報の伝達や避難の流れを確認。総務省消防庁によると、九州でのミサイルを想定した避難訓練は初めて。

引用:九州初のミサイル避難訓練 福岡・大野城 – 産経WEST

※6月4日の記事

北朝鮮による弾道ミサイル発射が相次いでいることを受け、日本各地で避難訓練が行われている。米どころの新潟県では燕市の水田風景の中で訓練。農業の男性らは用水路に逃げ込んだ。

引用:ミサイル来るぞ、避難先は用水路 新潟・燕市で訓練 – 日刊スポーツ

※6月19日の記事

加えて、政府の国民保護ポータルサイトにおいてはミサイルが飛来した時のJアラートシステムについての解説がされています。

北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合における全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達について(サイトに飛びます。詳しい内容はこちらに書かれています)

北朝鮮とロシアが接触か?

中朝関係が不和になっている一方で、逆に北朝鮮とロシアとの距離が急接近している情報も気になるところです。

なぜロシアが北朝鮮との接触を図っているのかはよくわからないところですが、こういった思惑があるのではないかという記事があります。

中村氏は「北朝鮮のミサイル発射はロシアの手によるもの」という見方を示していた。では、なぜロシアは北朝鮮からミサイルを撃っているのだろうか?
「経済制裁を解除してもらうためです。現在、ロシアは銀行や天然資源関連企業など約350社がブラックリストに載っていて、欧米や日本との取引が禁止されています。たとえば、日本の商社がブラックリストに載っているロシア企業と取引をしてアメリカに見つかれば、その商社はアメリカとの取引ができなくなります。そういった事情もあり、この経済制裁はロシアにとって大きな痛手です。

(中略)

今度は北朝鮮を使おうということでミサイルを撃って危険をあおっているわけです。今、世界でどこが北朝鮮と対話できるかといえば、ロシアしかありません。プーチンとしては、『その役割を引き受ける代わりに経済制裁を解いてくれよ』というわけです。貧しい国や無能な指導者の国を見つけて『将来、外交のカードに使えるな』と思えば、そのための布石を打っておく。以前から、それがプーチンのやり方です」

引用:ロシア軍が北朝鮮入りか…米中韓戦争なら三沢基地に核ミサイル飛来や北朝鮮の分割統治も – ビジネスジャーナル

長い文章ですが、簡単にまとめるとロシアは現在国内の状況があまり良くない状況にあり、その原因が経済制裁にあり、ロシアはこれを何とかしようとして今は北朝鮮を利用しようとしているということです。

北朝鮮も中国との関係が悪化していく中、その代わりとしてロシアが名乗り出てくれるのは悪い話ではないと考え、両国が接近しているものと考えられます。ただし、両国とも普通に仲良くしたいというよりかは、自国の利益を守るために手を組んでいる部分が強いと考えられるため、この関係も状況が変化すればまた変わるかもしれません。

北朝鮮とロシアの関係が改善していると思われる表立った行為は、7月4日のICBM発射を受けて国連では制裁強化の決議を出そうとしたときに、ロシアがこれを拒み声明を出せなかったことなどにも表れています。

今後どうなっていくのか?

核実験は行わなかった北朝鮮ですが、開発した技術が退化することはありません。

仮に圧力をかけて挑発行為を抑えたとしても、それは一時的に北朝鮮の軍事技術開発のペースを遅らせているだけであり、時間がたてばたつほどゆっくりかもしれませんが、確実に北朝鮮のミサイル技術は向上するでしょう。

北朝鮮に近い日本や韓国はもちろん、今までまずまずの関係を保ってきた中国や遠くに離れていながらICBMの危機がだんだんと現実味になってきたアメリカにとってももはやずっと現状を維持し続けることが難しくなってくることが考えられます。

北朝鮮のICBM、発射の瞬間

7月28日にも北朝鮮はICBMを発射し、北海道奥尻島からわずか150kmという近い距離に着弾しています。漁船で海に出ている人にとってはすごく危ない状況です。

この発射に関しては朝鮮中央テレビで発射の様子が放送され、動画まで流れました。以下にそのニュースの内、動画で流れた部分のみを載せておきます。

※ブラウザの環境によっては再生できない場合があります。
※音が流れます。音量に注意してください。

クリック(タップ)すると開きます。動画の時間は約2分ほどです。

トランプ大統領は北朝鮮を強く非難していますが、果たして北朝鮮に対する有効な手立てを打つことはできるのでしょうか? 中国は今後北朝鮮との関係をどうしていくのでしょうか? ロシアの動向も気になるところです。

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