北朝鮮のメディアとしてよくあがるのは「朝鮮中央テレビ」だと思われますが、それ以外にも北朝鮮のメディアは存在します。
どのメディアも国営である
朝鮮中央テレビも含め、北朝鮮のテレビやラジオはすべて国営であるため、何を放送するか、どういった内容にするのかということはすべて国が決めることになります。
そのため、現在の北朝鮮の体勢に否定的な放送は意図的に流さないということは容易に可能となっています。北朝鮮ではインターネットなども閉鎖的であり、通常は外部から入ってくる情報はすべて国営のメディアのみとなります。
北朝鮮のテレビ
それでは、ここから北朝鮮にはどんなメディアが存在するのかを簡単に紹介していきます。
朝鮮中央テレビ
北朝鮮の中では一番世界でも知られている放送局と言えるでしょう。朝鮮中央テレビに関しては別の記事で内容をまとめています。
関連記事:北朝鮮のテレビ「朝鮮中央テレビ」とは?
龍南山テレビ
平壌と開城で視聴できる、主に大学生をターゲットとした教育番組を放送するテレビ局のようです。放送時間は月、水、金に19:00~22:00の3時間放送されるようです。
韓国のソウルに向けての放送も行っていますが、韓国はこれに対抗して電波妨害を仕掛けるなど、電波の世界においても両国は衝突しているようです。
万寿台テレビ
平壌で視聴できる様々な番組が放送されるテレビ局です。開局されたのは1983年と30年以上の歴史があります。
朝鮮中央テレビが政治色の高い番組を放送し続けるのに対し、こちらは欧米の映画やドラマ、アニメなども放送されることが多いため、人気は高いようです。
ただし、放送時間は土曜日に3時間、日曜日に9時間のみと、一週間の中では短いです。
しかし、こういった内容は北朝鮮による体制維持に支障が出る危険性があるため、北朝鮮も万寿台テレビの内容には非常に神経をとがらせていると考えられます。
「外国の情報に飢えた特権階級が万寿台テレビの職員に海外映像を要求した。一部職員が、これに応えて外国から取り寄せた未編集の映像をUSBに入れて平壌の特権階級に横流ししていたのだ」
しかし、この事実は保衛部(秘密警察)の情報網にひっかかり大々的な摘発が行われる。多くの職員が逮捕され、首謀者は刑務所送り、または革命化(地方への追放)となり、その家族もすべて平壌から追放された。
さらに同局の制作局は7月に解散に追い込まれる。多数の職員不在で映像編集も出来なくなり、数ヶ月間の放送中断を余儀なくされたのだ。
この事件の影響により万寿台テレビは2015年7月~11月の間放送がストップしていました。北朝鮮の人たちは海外の作品にはかなり興味があると考えられます。
体育テレビ
平壌で視聴できるスポーツ専門の番組となっています。放送時間は土日それぞれ3時間ずつであり、また開局したのもおそらく2015年とかなり新しいテレビ局のようであり、あまり情報は出回っていないようです。
2015年8月18日の記事に「近日、放送開始された」と書かれているので、8月15日(祖国解放記念日)に放送が開始されたものと思われる。なお、同放送では「2015東アジア杯女子サッカーと第16回水泳世界選手権飛び込み女子10メートルの決勝戦」などが放送されたとのこと
北朝鮮はサッカーに力を入れている国でもありますので、ここで国際試合などの放送が行われているかもしれませんね。
北朝鮮のラジオ
北朝鮮はラジオも放送しています。もちろん、すべて国営なのは言うまでもありません。
朝鮮中央放送
北朝鮮全域で1日22時間、AMと短波で放送されているラジオ局です。最初に放送されたのは1945年10月と、形式的に北朝鮮が独立する前、第二次世界大戦が終了した2ヶ月後と、北朝鮮のメディア全体ではもっとも歴史のあるものと言えるでしょう。
仮放送も含めると最初に電波が発信されたのは1936年、そしてそれを行っていたのは日本だったのです。(朝鮮半島が日本領だったため。玉音放送も流された。北朝鮮は日本が築いたインフラをそのまま利用したものと思われる。)
放送内容はプロパガンダが中心となっています。
平壌FM放送
北朝鮮全域で1日16時間(祝日は23時間半)、FMで放送されているラジオ局です。
放送時間はWikipediaでは21:00~5:00の8時間となっていますが、別ソース(記事の一番下に参考にした本を記載)では上記のように書かれていました。どちらが正しいのかは不明です。
放送される内容は音楽が中心となっていますが、北朝鮮の一般市民はFMを受信できるラジオが普及してないということなので、このラジオは北朝鮮の核心階層の人だけが聞けるものなのかもしれません。
平壌放送
1日23時間半もの間、近隣諸国に対してAMと短波で放送しているラジオ局です。国内向けにもFMで放送しているようですが、近隣諸国に対しては平壌放送ではなく「朝鮮の声放送」という名前で放送しているようです。
放送内容はプロパガンダなどが中心ですが、朝鮮中央放送と違って、視聴対象は韓国や日本に住む朝鮮人向けの物となっています。(韓国は電波妨害を行って対抗している)
さらにこの放送局は北朝鮮の工作員向けに対する乱数放送も行っているようです。平壌放送も含めて、周波数を合わせて周囲の環境が良ければ日本でも聞くことができそうです。周波数等は以下の記事にまとめました。
朝鮮人民軍FM放送
軍事境界線で視聴できる、主に前線にいる朝鮮人民軍に対するラジオ局のようです。
放送内容等、詳細は明らかになっていません。
まとめ
以上、北朝鮮のメディアについてまとめてみました。新聞についてはこちらの記事で軽く触れております。
北朝鮮はメディアを国内の国民に対して体制を維持するための道具として使うだけでなく、それを韓国や日本にも飛ばして放送を行っています。韓国はこれに対し電波妨害をかけて対抗しています。
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