2018年の北朝鮮を振り返る

2018年の北朝鮮は昨年とは全く違う方向へと進みだしました。この動きに驚いた人も多いのではないでしょうか?

2月、平昌オリンピックに向けて

2017年はミサイルを撃ちまくって周辺国を刺激し続けた北朝鮮でしたが、2018年に入ると急激ともいえる方針転換へと舵を取り始めます。

最初は北朝鮮がオリンピックに参加するのかどうかという話になっていましたが、開催日が近づくにつれて北朝鮮は参加の意欲を見せるだけでなく、韓国との協調路線をとるようになります。

開催目前には韓国の選手団と合同で練習を行ったり、開会式には北朝鮮と韓国の選手団がともに「コリア」として入場するなど、オリンピックの場で両国の融和ムードを世界中にアピールしたのです。

これを皮切りに南北の関係は改善し、さらにアメリカとの交渉意欲も見せたことから、北朝鮮を取り巻く環境は一気にやんわりとしていくことになります。

4月、南北首脳会談

この勢いで北朝鮮と韓国は4月26日に金正恩委員長と文在寅大統領の首脳会談が板門店で開催されました。この様子は日本でも大きく報道され、世界にとっても大きな出来事の一つとしてとらえられたと考えられます。

この直前には北朝鮮はミサイル発射や核実験の必要がなくなったとも表明しており(朝日新聞デジタルより)、まさに朝鮮半島に平穏がやってきたと言わんばかりのムードになりました。

今週発表されたコリア・リサーチ・センターの世論調査結果によれば、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による4月27日の南北首脳会談を受け、金委員長を信頼するとの韓国人回答者の割合は78%に達した。ギャラップ・コリアが1カ月半前に実施した調査では、金委員長を肯定的に考える韓国人の回答者の割合は10%にとどまっていた。

引用:韓国人の8割近くが北朝鮮の金正恩委員長を信頼-世論調査 – Bloomberg ※2018年5月2日の記事です。

少なくとも、当時の韓国の北朝鮮に対する信頼度は爆発的に高まったようです。「朝鮮半島に平和が訪れる!」「北朝鮮と友好国に!」 多数の人がそう考えたのかもしれません。

6月、米朝首脳会談

この流れにトランプ大統領も北朝鮮との対話の意欲を見せ、6月12日にはシンガポールで金正恩委員長とトランプ大統領の首脳会談が開かれました。これもまた世界に大きなインパクトを与えたことでしょう。

米朝関係において一番ネックとなるのが「北朝鮮の核について」という部分でしょう。北朝鮮は去年、ワシントンまで届くとされるミサイル開発の成功に加え、核技術も着実に前進させていました。見方によってはアメリカを交渉のテーブルに引きずり出すことに成功したと考えることもできます。(関連:北朝鮮が核開発を行う理由)

当然アメリカにとっては北朝鮮の核が脅威ととらえられているため、核の廃棄を要求しますが、北朝鮮はその見返りとして経済制裁の緩和を求めています。

6月12日の会談は今まで米朝関係が冷え込んでいたこともあって、トップ同士が会談できたというだけでも及第点といえるかもしれませんが、本番は今後の動きであることは明白と言えます。

北朝鮮の狙いは?

ここまで2018年上半期の北朝鮮の動きについてまとめてみました。北朝鮮が韓国、そしてアメリカと首脳会談を行う姿は一歩前進に見えますが、北朝鮮が本気で周りとの協調路線をとる場合、過去に行ってきた行動を清算しなければならないのは避けて通れない道でしょう。

日本人の拉致問題はもちろんのこと、北朝鮮は過去にいくつもの国家的な非人道的行為(大韓航空機爆破事件に代表されるテロ行為)や約束を反故にしてきた責任を取らなければ被害者たちや北朝鮮に貸しを作った国は納得しないでしょう。

「今まで過激なことをしてきた北朝鮮がいきなり友好的になるはずがない」…そう考える人が現れるのも不思議ではないと思われます。

北朝鮮はとにかく経済制裁を解いてほしい

2018年下半期以降、北朝鮮をめぐってインパクトのある出来事はありませんでしたが、北朝鮮はアメリカや国連など北朝鮮に経済制裁を課している国に対して経済制裁の解除を強く求めています。

「北朝鮮は核を放棄するのだからアメリカなども経済制裁を解除するべきだ」と交換条件を立てて、それがなかなか解除されなければ相手に対して批判的な声明を出すこともありました。

米朝は最初の首脳階段から何回も交渉を重ねましたが、「先に経済制裁の解除だ!」と主張する北朝鮮と「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)だ!」と主張するアメリカとでなかなか折り合いがついていない状態が続いています。

ミサイルを撃たなくなったことはとりあえず安心してもいいかもしれませんが、北朝鮮が核を破棄するのかどうかが微妙な状態は変わっておらず、ワシントンに届くミサイルもいまだ健在なると北朝鮮の軍事的な力は弱まってはいないと言えるのではないでしょうか?

文在寅大統領は北朝鮮にとって「都合がいい?」

2017年の振り返りの記事にもほとんど書かなかったほど韓国のことについてはあまり取り上げていなかったのですが、2017年5月10日から韓国の大統領が文在寅氏に代わっていることはすでに周知の事実だと思います。

北朝鮮の急激な態度の変化はこれがきっかけかもしれないと考えられるような記事がありました。特に重要そうなところを引用してみます。

要するに、他国の判断を排除した独自の外交によって朝鮮半島を統治していくという、ある種の孤立主義とでもいうような考え方で、北朝鮮は度々韓国に対してこの主張をしており、韓国内の「自主派」というのはこれに同調した民族主義者の事です。

文政権はこの考え方を持つ人々が集まった政権で、過激な韓国労組や慰安婦団体のように単純に北朝鮮の利益に追従するのではなく、「自分達が朝鮮半島情勢や核をコントロールするのだ」「周辺三国(日本、中国、ロシア)やアメリカの意向は拒否する」というスタンスから、北朝鮮に同調するという考え方になってます。

引用:韓国は北朝鮮の言いなり – ブロマガ

この記事を読んでみると、韓国内部もかなり複雑な状況になっていることが読み取れますが、重要なのは文中にもあるように「自主派」と呼ばれる勢力が存在している、そして現在この自主派が韓国の政権を握っているというところだと言えます。

今までであれば「北朝鮮サイド(中国とロシア)VS韓国サイド(日本とアメリカ)」という単純な考え方ができたのですが、韓国が「朝鮮半島の問題は我々だけで解決するべきだ。日本やアメリカは引っ込んでろ」と言い出してしまうと日本とアメリカは混乱するのは必至でしょう。

当然北朝鮮にとっては韓国が勝手に味方を蹴ってくれるのですからまさに都合のいい状態ができていると言えます。

文在寅氏が大統領に就任してからすぐに方向転換をしなかったのは、対アメリカに対しての切り札である「ワシントンへ届く核ミサイル」がまだ完成していなかった…と考えると急ピッチで開発を急いだ理由が一つ生まれてきます(もちろん、これだけが方向転換の理由ではないと思いますが)。

2018年末現在の北朝鮮

去年よりは見た目で言えばおとなしくなった北朝鮮ですが、前記のことを考えるととてもアメリカとの根競べに負けたとは言えず、むしろ緻密な戦略で動き始めたと言えるのではないでしょうか?

北朝鮮が融和路線をとるといえば中国、ロシアは味方に回ってくれる(特に今の中国はアメリカと貿易戦争を行っている)でしょうし、韓国も北朝鮮との関係改善に意欲的…となればあとはアメリカとどう交渉していくか…といったところでしょうか。

日朝関係はどうなる?

2018年末現在のところ、日本は北朝鮮に対してはアメリカと同じ対応をするだけで、日本独自の外交はあまり見られないように感じられます(日本独自の経済制裁も解除はされていないみたいですが)。水面下でも交渉は進んでいるのかが気になるところです。

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